圧倒的数の力
「朝早いなあ…」と到着した参加引き換えのはがきを見て思った。
朝8時にスタート、トレイルランニング大会としては極めて普通の時間の出走ではあるが、距離10キロ強に朝8時スタートとはなかなか早い。
参加した大会の名前は「さがみ風っ子トレイルランニング大会」。オリエンティアにはおなじみ、城山湖の近くを走る大会だ。ファミリー向けのトレイルランニング大会の中でひっそりと募集されていたのがガチランナー向けの個人の部だった。
会場は2年前に早大OC大会で会場になっていたコミュニティ広場。コースレイアウトも 「しろやまこ」の尾根道を後半は走るなじみのあるエリアだったこともあり参加を決めた。
俺たちが大会をやったところで行われるトレランとはいったいどんなもんか……お手並み拝見だ、とある意味威力偵察のような心持で参加を決めたことを覚えている。
そんな上から目線?で参加をしに行ったわけだが、率直にすげーーーーーーーと運営に思う点もあったので、すげーーーと思ったことを記事に書こうと思った次第である。
-----
朝、7時前に橋本駅にやってきた筆者。橋本から無料の会場までのシャトルバスが運行しているので、それを利用して会場に向かう算段であった。
ひっそりと開催される個人の部のスタートは朝の8時と早いのだが、大会のメインとなる家族などの部は10時スタートということもあって、(この疎外感はアレだったが)バスもスカスカだろうとタカをくくっていた。でも、バスに乗り込むとその予想が裏切られた。どうも乗っている人の数が少しおかしい。
いかにもウェイウェイ系の風貌をした大学生たちが乗り込んだバスの半分くらいを占めていたのだ。絶対にこいつら山走ったりしないだろう……。なぜ乗っているんだ??
その疑問点は会場につくと解消された。選手受付の窓口の隣に「ボランティア受付」という窓口が設けられていたのだ。おおう、大学生たちはボランティア活動をしに来ているのか、ありがとうございます。でも、ちょっと待ってくれ、いったい何人のスタッフがいるんだ??
スタッフは皆おそろいの黄色い大会運営者用のTシャツを身にまとっていたのだが、その数が朝早いにも関わらず尋常ではない。目に見える範囲だけで100人以上いるぞ!? すげーーーーーーー。
オリエンテーリング界で最もスタッフが多い大会はおそらくはこのトレラン大会と同日に開催されているOLK大会だろうが、OLK大会のスタッフ数なんてこれに比べたらひよこである。これはまさに数の暴力。何でもできそうだ。
会場内に立っているテント数もOC大会の時の10倍くらいあるぞ……。すごいなあ。人の力だ。
出走前に荷物預り所が設けられているので、預けることができた。オリエンテーリングでこういう荷物預り所が設けられている大会は見たことがない。大勢で参加をしていれば気にならないが、個人で参加するときにはうれしいサービスだ。
いやはや、いったいスタッフは何人いるのだろうか。スタートしてコース中にも数えきれないくらいのスタッフがいた。コースの誘導員、救護役員、給水役員、さらにはカメラマンからドローンの操縦士までいるぞ。数の暴力を感じる。
まあ、人数が多ければ質もばらつきが出てしまうようで、やる気のある元気な学生は「頑張ってください~~」と声をかけてくれるが、いかにも俺嫌嫌来ています!!みたいな学生はほぼ無言だったりもしたが。元気出そうぜそこは!
コースの終盤は早大OC地図所有テレイン「しろやまこ」の中を走る。コースがゆるやかで体力の消耗はほとんどなく、何回も走った(走らざるを得なかった)評議原からのダウンヒルも快調に走れて楽しかった。が、登り返す法政大学側の尾根は筆者が調査したエリアで、知ってるだけありしんどさが数倍。最後は死に体でコミュニティ広場まで駆け上った。
スカイランナーならば今日のコースくらいすべて走れなければいけないのだろうが、くそ雑魚ナメクジだったので、歩いてしまったのが反省である。結局走り負けてしまった。
会場ゴールだと、周囲の目がある中、声をかけてもらいながらゴールできるので気持ちがよい。オリエンテーリングの大会も会場ゴールにすると大会に盛り上がりが出ると思うのですが、いかがでしょうか。
ゲートをくぐってのゴールはトレランやマラソンのお決まりみたいなものだが、オリエンテーリングではほぼ見ない。
一息ついた後、大会会場を見回すと、朝には見られなかった家族連れの大会参加者たちで広場は活気にあふれていた。出店もいろいろあり、食べ物も豊富だ。
色々興味を引くような小ネタも多くあったりもした。
子供向けのイベントも作られており、工芸大学の生徒が立案したのか、弓矢を使った射的ゲームとか、流しそうめんならぬ流しどんぐりを楽しそうに子供たちが行っていた。
もちろん、企業出展以外を取り仕切っているのはボランティアの大学生たち。いったい何人いるのか、朝よりも増殖しており、広場内だけで150人くらいはいたんじゃないだろうか。数の暴力だなぁ…。
会場内でひときわ目についていたものがある。救急車だ。何かあった時のために会場内に北里大病院の救急車が待機していたのだ。(しかもDMATチームぽい!!)
つい最近もトレイルランニング大会では滑落による死亡事故が発生している。リスク管理を大会側ではかっていることをアピールするうえでは抜群であった。
オリエンテーリングでは救急車とは言わずとも、メディカルスタッフが正式に配属されているような大会というものは見ない。トレランに比べるとファジーなところがあるオリエンテーリングの安全管理だが、ここ数年大きな事故を耳にしないのはオリエンティアの能力故なのだろうか?
家族の部のスタートを10時に控えて行われた開会式の時に名前を呼ばれた。いったい何事か、と思ったらなんと開会式の時に個人の部の表彰式を行うとのことだ!!なるほど、朝8時にスタートしたのはそれが目的だったのか。なんて斬新なんだ(笑)開会式なのに表彰式か(笑)
台の上に立つと、参加者の視線が多く集まっているのが分かった(オリエンテーリング比)。なるほどー、開会式や競技説明の時に表彰をすれば参加者の視線を集められる表彰式ができるようだ!!
でもまあうーん、あんま参考にならない……(笑)表彰台の上から見る景色は良いですよ。
筋から少しそれるが、開会式に伴っていろんな方からのあいさつがなされるわけだが、一人、ひときわ異端ともいえるあいさつをされていた。OC大会を運営していた人は存じているかもしれないが、「しろやまこ」の土地所有をしている財産区の区長さんだった。
頑張ってください!とかそういう言葉はなく、語られるのはこの土地は私のものだから、私の不興をかったら大会はさせない。だが、地域貢献もあるから道義を通せば協力をさせてもらう、という話をされていた。
オリエンテーリングも、トレイルランニングも、誰かが管理している土地を使わせていただいて行うものである。だから、渉外行為というものは非常に大切であるし、区長のおっしゃる「道義」に通らないことを行ってしまった際には土地を使わせてもらえないことに直結する。
で、その道義に通らないと判断する基準というのは人によって違うわけで、これさえあれば大丈夫というマニュアルあるわけでない。だから、大会を作っていくのは大会なのだと思う。
つい先日もウェルカムリレーを開催したテレインで渉外的な問題が発生をしたと聞いた。管理者が考える「道義」から外れた行為が不興をかったのだろう。私たちは「道義」をきちんと意思疎通でくみ取り、大会の運営施策に反映させることが求められている。
開会式の挨拶を聞くだけでは、反感を覚えかねない挨拶とも取れてしまうが、大会の渉外を担った部員の話を聞いてみると、「話せばわかってくれる人、そこには道義を通す必要性がある」という反応を以前聞いた。まずは何事も話すことから始めることが大切なのだろう。偉そうなことを言える人間ではないのだけれど意識していたい。
そんな1幕があった開会式が終わったのが9時40分過ぎ。まだ朝といえる時間に私の本日のメーンイベントは終了をした。まだまだ1日は長い。これが朝活だろう、素晴らしいQOL。
時間もあったので、家族の部を走る人たちを応援しに行くことにした。
小学生と親が元気そうに山を走る姿は、ほほえましいものがあった。また、たいていの場合親は死にそうに辛い顔をしていて、子供は元気そうなのが特徴であった。
オリエンテーリングで子供と親が一緒に回る大会というのはどうだろうか?ファミリー限定、ゴールは手をつないですることが義務付けられている大会。関東学連がやっているペアO強化版みたいな感じで。
普段は本気でしか走らないランナーも、新しい発見をできるかもしれないなーと、親子の参加者を見ていて思った。問題は参加者が少なそうであるということだが……。
競技以外の運営面で、同じ会場で大会をやっても、こんなにも違うところがあるんだなーと関心を覚えた1日であった。
もちろん、資金力とかそういう点でやれることに違いはあるだろうが、オリエンテーリングの大会だけではなく、ほかのスポーツイベントの良いところをうまーく大会に取り入れていくことが、大会の質の向上とともに、オリエンテーリングの大会が、ガラパゴス化していかないためには大切なんじゃないかなぁ、なんてなんとなく感じた1日だった。
しろやまこからの景観は、今日のすがすがしい気分も相まって、より一層美しく見えた。
朝8時にスタート、トレイルランニング大会としては極めて普通の時間の出走ではあるが、距離10キロ強に朝8時スタートとはなかなか早い。
参加した大会の名前は「さがみ風っ子トレイルランニング大会」。オリエンティアにはおなじみ、城山湖の近くを走る大会だ。ファミリー向けのトレイルランニング大会の中でひっそりと募集されていたのがガチランナー向けの個人の部だった。
会場は2年前に早大OC大会で会場になっていたコミュニティ広場。コースレイアウトも 「しろやまこ」の尾根道を後半は走るなじみのあるエリアだったこともあり参加を決めた。
俺たちが大会をやったところで行われるトレランとはいったいどんなもんか……お手並み拝見だ、とある意味威力偵察のような心持で参加を決めたことを覚えている。
そんな上から目線?で参加をしに行ったわけだが、率直にすげーーーーーーーと運営に思う点もあったので、すげーーーと思ったことを記事に書こうと思った次第である。
-----
朝、7時前に橋本駅にやってきた筆者。橋本から無料の会場までのシャトルバスが運行しているので、それを利用して会場に向かう算段であった。
ひっそりと開催される個人の部のスタートは朝の8時と早いのだが、大会のメインとなる家族などの部は10時スタートということもあって、(この疎外感はアレだったが)バスもスカスカだろうとタカをくくっていた。でも、バスに乗り込むとその予想が裏切られた。どうも乗っている人の数が少しおかしい。
いかにもウェイウェイ系の風貌をした大学生たちが乗り込んだバスの半分くらいを占めていたのだ。絶対にこいつら山走ったりしないだろう……。なぜ乗っているんだ??
その疑問点は会場につくと解消された。選手受付の窓口の隣に「ボランティア受付」という窓口が設けられていたのだ。おおう、大学生たちはボランティア活動をしに来ているのか、ありがとうございます。でも、ちょっと待ってくれ、いったい何人のスタッフがいるんだ??
スタッフは皆おそろいの黄色い大会運営者用のTシャツを身にまとっていたのだが、その数が朝早いにも関わらず尋常ではない。目に見える範囲だけで100人以上いるぞ!? すげーーーーーーー。
写真はレース後に撮影したもの、黄色いシャツを着たのがスタッフ |
オリエンテーリング界で最もスタッフが多い大会はおそらくはこのトレラン大会と同日に開催されているOLK大会だろうが、OLK大会のスタッフ数なんてこれに比べたらひよこである。これはまさに数の暴力。何でもできそうだ。
会場内に立っているテント数もOC大会の時の10倍くらいあるぞ……。すごいなあ。人の力だ。
出走前に荷物預り所が設けられているので、預けることができた。オリエンテーリングでこういう荷物預り所が設けられている大会は見たことがない。大勢で参加をしていれば気にならないが、個人で参加するときにはうれしいサービスだ。
いやはや、いったいスタッフは何人いるのだろうか。スタートしてコース中にも数えきれないくらいのスタッフがいた。コースの誘導員、救護役員、給水役員、さらにはカメラマンからドローンの操縦士までいるぞ。数の暴力を感じる。
まあ、人数が多ければ質もばらつきが出てしまうようで、やる気のある元気な学生は「頑張ってください~~」と声をかけてくれるが、いかにも俺嫌嫌来ています!!みたいな学生はほぼ無言だったりもしたが。元気出そうぜそこは!
コースの終盤は早大OC地図所有テレイン「しろやまこ」の中を走る。コースがゆるやかで体力の消耗はほとんどなく、何回も走った(走らざるを得なかった)評議原からのダウンヒルも快調に走れて楽しかった。が、登り返す法政大学側の尾根は筆者が調査したエリアで、知ってるだけありしんどさが数倍。最後は死に体でコミュニティ広場まで駆け上った。
スカイランナーならば今日のコースくらいすべて走れなければいけないのだろうが、くそ雑魚ナメクジだったので、歩いてしまったのが反省である。結局走り負けてしまった。
会場ゴールだと、周囲の目がある中、声をかけてもらいながらゴールできるので気持ちがよい。オリエンテーリングの大会も会場ゴールにすると大会に盛り上がりが出ると思うのですが、いかがでしょうか。
ゲートをくぐってのゴールはトレランやマラソンのお決まりみたいなものだが、オリエンテーリングではほぼ見ない。
会場内に設けられたゴールゲート。注目度は高い。 |
一息ついた後、大会会場を見回すと、朝には見られなかった家族連れの大会参加者たちで広場は活気にあふれていた。出店もいろいろあり、食べ物も豊富だ。
色々興味を引くような小ネタも多くあったりもした。
子供向けのイベントも作られており、工芸大学の生徒が立案したのか、弓矢を使った射的ゲームとか、流しそうめんならぬ流しどんぐりを楽しそうに子供たちが行っていた。
広場に設けられた子供向けの遊び場。趣向が凝らされていた。 |
もちろん、企業出展以外を取り仕切っているのはボランティアの大学生たち。いったい何人いるのか、朝よりも増殖しており、広場内だけで150人くらいはいたんじゃないだろうか。数の暴力だなぁ…。
会場内でひときわ目についていたものがある。救急車だ。何かあった時のために会場内に北里大病院の救急車が待機していたのだ。(しかもDMATチームぽい!!)
つい最近もトレイルランニング大会では滑落による死亡事故が発生している。リスク管理を大会側ではかっていることをアピールするうえでは抜群であった。
オリエンテーリングでは救急車とは言わずとも、メディカルスタッフが正式に配属されているような大会というものは見ない。トレランに比べるとファジーなところがあるオリエンテーリングの安全管理だが、ここ数年大きな事故を耳にしないのはオリエンティアの能力故なのだろうか?
会場内で待機する救急車。もちろん出動しないことが望ましい。 |
家族の部のスタートを10時に控えて行われた開会式の時に名前を呼ばれた。いったい何事か、と思ったらなんと開会式の時に個人の部の表彰式を行うとのことだ!!なるほど、朝8時にスタートしたのはそれが目的だったのか。なんて斬新なんだ(笑)開会式なのに表彰式か(笑)
台の上に立つと、参加者の視線が多く集まっているのが分かった(オリエンテーリング比)。なるほどー、開会式や競技説明の時に表彰をすれば参加者の視線を集められる表彰式ができるようだ!!
でもまあうーん、あんま参考にならない……(笑)表彰台の上から見る景色は良いですよ。
表彰台からの眺め |
筋から少しそれるが、開会式に伴っていろんな方からのあいさつがなされるわけだが、一人、ひときわ異端ともいえるあいさつをされていた。OC大会を運営していた人は存じているかもしれないが、「しろやまこ」の土地所有をしている財産区の区長さんだった。
頑張ってください!とかそういう言葉はなく、語られるのはこの土地は私のものだから、私の不興をかったら大会はさせない。だが、地域貢献もあるから道義を通せば協力をさせてもらう、という話をされていた。
オリエンテーリングも、トレイルランニングも、誰かが管理している土地を使わせていただいて行うものである。だから、渉外行為というものは非常に大切であるし、区長のおっしゃる「道義」に通らないことを行ってしまった際には土地を使わせてもらえないことに直結する。
で、その道義に通らないと判断する基準というのは人によって違うわけで、これさえあれば大丈夫というマニュアルあるわけでない。だから、大会を作っていくのは大会なのだと思う。
つい先日もウェルカムリレーを開催したテレインで渉外的な問題が発生をしたと聞いた。管理者が考える「道義」から外れた行為が不興をかったのだろう。私たちは「道義」をきちんと意思疎通でくみ取り、大会の運営施策に反映させることが求められている。
開会式の挨拶を聞くだけでは、反感を覚えかねない挨拶とも取れてしまうが、大会の渉外を担った部員の話を聞いてみると、「話せばわかってくれる人、そこには道義を通す必要性がある」という反応を以前聞いた。まずは何事も話すことから始めることが大切なのだろう。偉そうなことを言える人間ではないのだけれど意識していたい。
そんな1幕があった開会式が終わったのが9時40分過ぎ。まだ朝といえる時間に私の本日のメーンイベントは終了をした。まだまだ1日は長い。これが朝活だろう、素晴らしいQOL。
時間もあったので、家族の部を走る人たちを応援しに行くことにした。
小学生と親が元気そうに山を走る姿は、ほほえましいものがあった。また、たいていの場合親は死にそうに辛い顔をしていて、子供は元気そうなのが特徴であった。
オリエンテーリングで子供と親が一緒に回る大会というのはどうだろうか?ファミリー限定、ゴールは手をつないですることが義務付けられている大会。関東学連がやっているペアO強化版みたいな感じで。
普段は本気でしか走らないランナーも、新しい発見をできるかもしれないなーと、親子の参加者を見ていて思った。問題は参加者が少なそうであるということだが……。
親子で元気に走る姿がたくさん見られた。 |
競技以外の運営面で、同じ会場で大会をやっても、こんなにも違うところがあるんだなーと関心を覚えた1日であった。
もちろん、資金力とかそういう点でやれることに違いはあるだろうが、オリエンテーリングの大会だけではなく、ほかのスポーツイベントの良いところをうまーく大会に取り入れていくことが、大会の質の向上とともに、オリエンテーリングの大会が、ガラパゴス化していかないためには大切なんじゃないかなぁ、なんてなんとなく感じた1日だった。
しろやまこからの景観は、今日のすがすがしい気分も相まって、より一層美しく見えた。
金毘羅神社付近からの眺望 |
コメント
コメントを投稿